腕白関白二次創作「遠き時代の果て」
2008年 12月 11日
ほんと出来れば見なかった事にしていただければと・・・
目の前には無数の受講生。
流石有名大学だけあって、大学にもかかわらず気合入ってるなー。
俺が普通に学生やってた頃は……
止めよう惨めになる、しかし、何でこんな事になったのかねぇ。
個人的には部屋の隅っこで昼寝したい気分なんだが、そういうわけには行かないのが辛い所だ。
諦めて講義を始めよう、あの怖くて充実して必死に頑張った、あの頃の話を本当の意味で伝えられるのは俺だけなんだから……
朝、起きたら赤ん坊だった。
いや、びっくりした。流石に二度もこんな事になろうとは、いい加減俺も良い年なんだから楽にしてくれても良いと思うんだがなぁ。
そう、前世では豊臣秀次をやってたんだが、何の因果か1900年代後半に赤ん坊として生まれ直してしまったのだ。
ちなみに、前世の前世は現代でサラリーマンやってました。
何で俺ばっかこんな目に会うのかもしかしてみんな言わないだけでしょっちゅう生まれ変わったりしてるのか?
まぁ、色々葛藤はあったが元々慣れ親しんだ時代だ……とは言っても二度目の時代の方が長く生きてきたわけだが……直ぐに馴れた。
問題は、一種の天才児だと言われて騒がれたような気もするが、天才児も大人になればただの人。
元々普通の大人が子供になっただけだ、時が経てば充分にごまかせるようになると割りと楽観していた。
しかし、問題が無かったわけじゃあない。
と言うか、ここが最初に居た現代じゃないのが問題だ。
そう、今居る現代ってのは俺が二度目の人生で時代を変えまくったあの時代の未来だったのだ。
なんかもう、思いの他、俺が作った日本の基礎ってのが上手くかみ合ったと言うか冗談半分で残した埋蔵金の影響もあってなんと言うか
島国の癖になんと言うチート国家、豊臣パネェみたいな事を2ch歴史板で見かけるし、環太平洋の覇者みたいな国になっててワロス。
まぁ、その辺り、俺がやった結果がどうなったかが気になって歴史を専攻に進んだりと、まぁ問題は大有りだがどうとでもなったがな。
つーかひろゆきとかいるのかよすげぇと言うか日本人はほんとにすげぇ。
江戸時代無かったからもしかしてオタク文化は育たないかもとか思ってたんだが2chはあるわアニメ大国だわ秋葉原は聖地だわ、もう笑うしかないね。
これは遺伝子レベルで日本人はHENTAI遺伝子とか持ってるに違いない。
千島列島経由で到達したアラスカとカナダ等の日本領(伊達の一族超頑張ったらしい流石政宗遺伝子)や台湾やハワイ島の日本人もHENTAIだし日本人化したら感染るのかもしれんけどな。
しかも、戦国BASARAとか戦国無双とか俺居るよ。
……銃&爆弾使いで美化300%くらい。
思わずゲームソフト投げたわ!
薔薇とか背負うな、ウインクで稲とか甲斐とか落すな、なんだこのリア充、キモイわ!!
信長の野望の豊臣秀次のステータスとか最悪だ。
豊臣秀次 政治100 戦闘78 教養81 魅力93 野望16 義理7
なんだこのチートキャラ、ありえん。
何処の武田信玄ですか、チートスキルとかあるし、笑うしかないな。
まぁ、でも安心した。
俺があの時代にやったことは無駄じゃなかった。
俺の子供たちはきちんと俺の期待に答えてくれてた。
出来ればこれで最後にしたい所だが、今回、この時代を見せてくれた何かに俺は感謝をしたい。
まぁ、殺伐とした時代じゃないんだ、一般市民の当然の権利として、この平穏をじっくり堪能させてもらうとしますか。
そんな事を考えていた時代が俺にもありました……
俺は何を間違ったんだろうか?
変わってしまった時代に興味を持って大学で歴史を専攻した所までは間違ってなかったと思うんだがなぁ……
講義が終わって大学の研究室に戻ってきた時の事だったと思う。
奥の部屋で古書を眺めて唸っている教授が居る。
まぁ、特にする事も無かったし、その時の俺は暇だったんだ。
つい、教授の作業を眺めに行った時、古書の訳文の間違いの部分を指摘してしまった事が全ての始まりだった。
判るのかねと聞かれて、まぁ、それなりに読めますけど見たいな事を言った瞬間、教授の目の色が変わった。
そりゃ、その時代の人間で当時の支配者として当然レベル以上の教養はあったわけだし……
昔は蛇ののたくったようにしか見えないあの文字も今では普通に現代日本語を読む感覚で読めるわけだ。
それ以来、ちょくちょく俺に対して古書の内容について試験と言うか軽い質疑応答をその教授はしてくるようになった。
そして、何処をどう気に居られたのか、俺が使えると判断した瞬間、フィールドワークとかにも当然のように俺を連れまわすようになったわけだ。
その上、やたら、戦国時代末期からの数十年、つまり、豊臣秀次が生きていた時代について専門家も驚くような知識を持ってると言う事がばれた瞬間、俺の進路は何故か自動的に決まってしまったようである。
奨学金を出すからとか上手い事言って大学院に進まされ、例の教授の助手として大学に残ることになり、今では立派な助教授です。
おかしいなぁ、何でこんな事になったのか俺にはさっぱり判らない。
その助手時代になんと、俺が前世で書いていた日記が発見されてしまった。
冷静になって青ざめたね、日記の中に「マジやべぇ」「可児はマジゴリラw」「切腹近いかも! 俺に精神安定剤、デパスとかくれ!」「稲姫はやばい、本気で美人すぎ」とかリアルに書いてたわけだ。
オーパーツ扱いされるか、豊臣秀次は未来人だとか、そんな噂が広がったらどうしようと蒼くなっておろおろしてたんだが。
案ずるよりは産むが安しというか、おそらく研究者の悪戯でこの日記は偽書だと鑑定されてしまった一安心。
まぁ、少し寂しい気もするが、そりゃ未来人だったとか信じられるわけが無いよなぁ。
あまりに挙動不審だったせいで教授にはあの日記の犯人は俺じゃないかと怪しまれた。
まぁ、間違いは無いんだが、そのお調子者が見たいな視線はやめてください、本当に豊臣秀次の日記なのは間違いないんですから。
とまぁ、そんなこんなでそういう事情もあり、割と名が知れてきたので某有名大学で一期だけ特別に歴史学の講義を受け持つようにはなったわけだ。
あのー、生徒の皆様、そんな注目しなくても、これは別の意味で胃が痛い。
と言うか、いっつも俺の講義の時に一番前、俺の正面で講義を受けに来る黒髪のお嬢さんは何者だろうか?
なんかすっごい睨まれてますよ?
なんと言うか、お見合いの時の稲みたいで冷や汗がだらだら出てくるのですが……
-???-
ある日、気が付けば私は赤ん坊でした。
そう、私が居た時代は数百年前で、今はそれから数百年後なのだとか。
馴れるのは大変でしたが賢しらな私を両親は愛してくれましたし、あの頃よりずっと学問がしやすい環境でしたので時と共にこの時代にもなれて行きました。
何もかも世の中は変わっていて、それでも民達は笑っていました。
秀次様はきっとこんな世界を望んで頑張っていたんだと胸が温かくなる思いです。
ただ、あの人とこの光景を一緒に見れないのが残念で、寂しくもあります。
幸い学ぶ事は楽しかったので世間でも有名な進学校に入学することが出来ましたし、私達が生きた結果、この日本がどうなったのかそういう興味から歴史を学ぶ事にもしました。
その関係で有名な大学に入ったのですが……そこで、私は不思議な方に出会ったのです。
私の大学に他所の大学から招かれた講師の男性なのですが、どうしても何処かであった事がある気がします。
聞く所によると、戦国時代末期から、安土桃山時代初期を専門にする優秀な助教授なのだとか。
まるで見てきたように当時の風俗や武将達の事を語り、まるで知っていたかのように当時に立てられた寺社やそこに収められていた古書などにも詳しいそうなのです。
そう、そこまで聞いて、もしやと思いました。
それ以来、その方の講義は目の前で、そして一挙一動を見逃さないように観察することにしました。
私は既に確信しているのです、ただその事を問いただす勇気がないだけで……
ですが、きっと私は近いうちに確かめるでしょう。
不安よりも、寂しさのほうがどんどん強くなって行っているからです。
そう……
「秀次様……」
「…………稲?」
Happy End!!
死にたい・・・・orz