二次創作をメインにネット小説などを紹介するブログ


by grass_noppara
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

腕白関白二次創作「遠き時代の果て・蛇足」

「あの、秀次様」
「ん? どうした、稲」

 稲と再会して一ヶ月、今の名前もあるんだが、二人きりの時は昔の名前で呼び合っていたりする。
 数十年は呼び合った名前だし、俺も稲もお互いそう呼ばれるのが当然で自然とそうなっていた。
 そんなに頻繁に二人っきりになる機会があるのかと思われるだろうが……

「これはなんです?」
「あぁ、そのダンボール箱か、なんと言うか……」

 まぁ、あれだ、お互いの部屋のカギをお互いが持ってると言う、そう、察してください。
 いや、若くなった事だし、お互い前世での関係に操を立ててたと言うか、ごめんなさい、思いっきり張り切ってしまいました。
 今度、稲の両親にご挨拶に行かんといけんなぁ、本多の義父上みたいな親父さんだったらどうしよう……
 それは兎も角、あのダンボールの話だ。
 あれは、なんと言うか豊臣秀次グッズを入れておく箱だったりする。
 誰でも一度は似たような事を経験した事があるんじゃないだろうか?
 身近な家族や友人、もしくは自分が有名になって、それにまつわる新聞の記事を集めたり保管したりした経験が。
 俺の場合、豊臣秀次が出てくるフィクションがその対象になってたりするわけだ。

「戦国BASARAに、戦国無双、えっと、ゲームですよね?」

 あぁ、前に買ってあんまりすぎたんでぶん投げた奴だな。
 稲が持つパッケージには結構美形な銃を持った男と黒いオーラを出している妖女って感じの女キャラがデカデカと印刷されたPS2のゲームソフトがあった。
 他には、司馬遼太郎が書いた歴史小説や、歴史漫画、ビデオが数本などが入っていたりする。
 やたら美化されてて勘弁して欲しいが、フィクションだからなぁ。

「ふふ、やはり後世の人達の評価はお気になりますか?」

 そりゃあなぁ、数年前には大河にもなったし、気にならないと言ったら嘘にはなる。
 純粋にフィクションとしてなら良く出来てるのは判るんだが……
 あまりにも美化が激しすぎてなぁ。

「私も幾つか見ましたけど、それほど大きく違ってはいませんでしたよ」

 む、そう言うならちょっと大河の録画でも見てみるか、美化しすぎって事を証明しないとな。
 と言う事で、二人でソファーに並んでビデオ鑑賞をする流れに……
 この俳優美形過ぎだ、何このくさい台詞、いやいや勇敢すぎるだろうと恥ずかしさでもだえる俺。
 懐かしいですね、もう少し秀次様は優しかったと思います、などとべた褒めな稲。
 まぁ、手の平に感じる稲の手のぬくもりと、肩に感じる稲の重みは懐かしくて有意義な時間であったことは間違いない。









 稲と再会して大きく変化した事が二つある。
 一つは、お互いの部屋を行き来するようになったこと。
 もう一つが生徒、主に男共の視線だ。
 うまくやりやがって、みたいな睨む様な視線が増えた、すげー増えた。
 どうやら稲にはかなり人気があったようで、俺、このままだと大学構内で刺されんじゃないだろうか?
 まぁ、こっちの大学は出向みたいなもんだ、元の大学の研究室が平和で何よりだよなぁ。

「先輩、彼女が出来たって言うのは本当ですか?」

 話しかけて来るのは高校の時からの後輩で、茶色がかかった髪をショートカットにした堅物そうな雰囲気のお嬢さんだ。
 当時の友人と石田三成の切腹と当時の流れについて話してた時にそれを聞いてたのか話に入ってきたのが縁で知り合ったのだが……
 このお嬢さんがまた凄いの何の、滅茶苦茶熱心な秀次ファンのようでやたらと豊臣秀次に対して詳しい。
 俺が石田三成を死に追いやった責任は豊臣秀次にあるみたいな事を言った所、責任の所在は石田三成にあり豊臣秀次には何の責もないとすごい剣幕でまくし立てられたのは何時まで経っても忘れられない。
 普段は凄く冷静で多少融通が効かない所はあるが真面目で良い奴なんだが、妙に豊臣秀次を神聖化してるんだよなぁ。
 そんなこんなで最初は険悪だったんだが何度か遣り合ってるうちに妙に懐かれた。
 懐かれたと言うか、俺を見る目が尊敬を通り越して崇拝に近い所まで来てるんじゃないかと勘違いするほどに気に入られた。
 そのせいか、これだけ優秀で探せばもっと良い進路があっただろうに何故か俺の後を追って今の大学に入学してきたんだよなぁ。
 しかも、大学入学後はうちの研究室に入り浸っていたりするし、困った奴だ。
 どう考えても、過大評価だよなぁ。
 しかしタイムリーな話だがこっちの学校まで稲の事が広まってるのか、からかわれて照れる段階は過ぎてるとはいえ由々しき問題だ。

「まぁ、一応な。そんなに話が広まってるのか?」
「いえ、ただ黒髪の女性と仲良く歩いていたのを見かけただけです。」

 しれっと答える彼女。
 どうやら俺は墓穴を掘ったらしい。
 しかし、このお嬢さん、普段はあんまり表情が変わらないのだが、今は妙に不機嫌になってる気がする。
 普通なら惚れた腫れたと勘違いしそうなもんなんだが……
 まぁ、亀の甲より年の功、それなりに経験を積んできたから言えるが尊敬はされてても惚れられては無いような気がするんだよなぁ。

「先輩は、なんとなくですが、一生結婚とかはしないんじゃないかって思ってました。」

 いやいや、そうでもないと思うんだがなぁ。
 実際、稲と出会わなければ特に焦って彼女を作ろうとは考えなかっただろうけど……

「どういう知り合いなんですか?」

 古馴染みだよなぁ、多分、今の知り合いの誰よりも古い知り合いだな。
 そう言った俺を彼女は無言で見つめた。
 何となくだが、不機嫌さが薄まって納得の色が見えてきた気がする。

「……もしかして」

 良くは聞き取れなかったが軽い雑談をした後、彼女は一礼して帰って行った。
 はて、なんだか思い当たりがあるみたいな反応だったが、流石に前世からの夫婦ですなんて判るはずがない。
 変な勘違いしていなければ良いのだがなぁ。





 -???-


 それは偶然だった。
 いや、偶然というには運命染みていて、そもそも今この状況が望外の奇跡のようなものである以上、やはり偶然ではなく運命だと思いたかった。
 私はあの時、確かに死んだはずだ。
 今わの際に見る夢か、輪廻転生の先にある新たな生かそれは未だに判断できてはいない。
 そんな時、私はあの人の言葉を思い出す。
 堅物で融通の利かない私に柔軟で強靭な新しい物差しを与えてくれた数々の言葉。
 もう二度と会えないと思っていたそれに私は再び出会ったのだ。

 おそらくあの方は私には気付くまい。
 姿も形も性別さえも変わり果てた私に……
 それに、あの方に全て押し付けて去った私が、今更どの面下げて名乗れるだろうか?
 ただ、それでもあの方と再会させてくれた運命に私は感謝したい。

 忠義の志などともてはやされた人間など何処にも居なかった事を私は知っている。
 だがもし許されるのならば、あの時、最後まで果せなかった忠勤を此度の世では果したい。

 そして、私やあの方のような存在はもっと居るのかもしれない。
 可能なら、あの黒髪の女性と会って話しがして見たい。
 私の推測が正しいのなら、きっと……








 今度こそ続かない。
[PR]
Commented by 馬場 at 2008-12-19 20:10 x
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
ってわけで、続編読ませてもらいました。
甲斐でもなく、駒でもなく三成って所が嫉妬してしまいますw
三成にとって秀次が神聖化してしまうのは致し方ないですよね。
特に後の文献を読み漁れば尚更だと思います。
大河で三成が死んだ後の場面を再現されてたら感涙の涙で何も見えなくなったんじゃないかな~。
続かないって書かれてますが、当然続編希望w
甲斐や駒も出てきて欲しいし、稲の両親への挨拶とかも興味津々です。

あと、ここで紹介されているSS巡りが日課になりそうですw
Commented by 真穂 at 2008-12-19 20:15 x
ふと、「秀次崇拝」が祟って、女子の友人にその手のサークルに誘われ、「秀次×三成」本を見せられてしまうTS三成とかふと思い浮かんだ。w
っと、ぶっちゃけTS三成の女の子日記「小学編」~「大学編」とかはマジに見てみたいかも。
Commented by 賽子 青 at 2008-12-20 03:53 x
 理想郷からぶっとんできました。
 腕白関白の二次、最高でした♪♪ もうウチは手を引いて、こっそり消えるべきなんじゃないかってくらいwww

「秀次様……」
「…………稲?」

 のトコなんか『キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!』以外にどう反応せよと??

 さらに書かれる予定ならば、ウチが感想板で安請け合いした『その時~』をお願いできませんか?
 きっとバトルSS作家のウチが書くよりも良作を生み出されるでしょうから。

Commented by ダグラス at 2008-12-20 17:51 x
続きはないのかぁと思っていたので吃驚しつつ喜び二倍、しびれました文句なしに最高です!
期待せずに続きを待っています。
Commented by 青竜→朱雀 白虎→玄武 at 2009-03-22 12:53 x
ふと、ここの腕白関白二次設定で某歴史の真実系番組をやっている光景が浮かんだ。
玄武が「衝撃! 豊臣秀次は未来人だった!」とか言って朱雀が有り得ないと断じる光景。

秀次絶対吹き出すなー。
Commented by M1934 at 2009-03-25 10:04 x
はじめまして、自分も理想郷からとんできた口です。ほんとに続きが見たい作品ですよ、これ。                        続きは書かないなんて言わないでゼヒ書いてください!
Commented by grass_noppara at 2009-03-25 19:51
最近、腕白二次目当ての人がぽつぽつw
正直、驚きですが、わざわざ見に来ていただいてありがとうございます。
続きは書けなくはない気もしますが、三成女性化という禁じ手を使った事だしなぁw
まぁ、無いと思っておいてもらえればいざ続きが出来た時に喜びもひとしおになるかもしれませんね。
書きませんよ、ネタフリじゃないですよ?
Commented by パトラッシュ at 2009-04-09 01:42 x
そんなこと言わないで、ゼヒゼヒ続きを。金崎玄之丞のも面白かったけど、これを読んだらgrass nopparaさんは天才じゃないかと思ったりして。三成女性化は禁じ手なんかじゃありません。むしろストーリーをどんどん膨らませる材料になります。金崎シリーズと同じところへ投稿されたら、きっと大反響で続編希望が殺到するでしょう。お願いしますから書いて下さい!!!
Commented by grass_noppara at 2009-04-09 20:07
熱狂的な応援ありがとうございますw
まぁ、天才の名は腕白関白を書いたそるさんに進呈するとして。
とりあえず、ブリーチが終わるまでは確実に更新は無いので気合入れず更新されたらラッキーくらいの心持で居て頂けると助かります。
Commented by しの at 2009-04-20 05:10 x
金之丞と同時進行って無理ですかねぇ・・・
続きが見たいです。
Commented by 伊101 at 2009-04-25 23:05 x
ハジメマシテ
ブリーチがんばってください
終わったら続編書いてくれると非常にうれしいです 非常に
Commented by 雲海 at 2009-06-19 14:08 x
(<・>_<・>)ジィィィ
Commented by なる at 2009-07-19 00:36 x
実は、是非とも続けて欲しい作品だったりする、これ
Commented by grass_noppara at 2009-07-19 22:02
前向きに善処したい所ではあります。
うーむ、でも、ぶっちゃけ、やりたいシーンはやりきってはいるんですよねぇ・・・
どういう展開にするべきかw
Commented by フィー at 2009-08-11 23:47 x
はじめまして~。理想郷のほうから歩いてきました。
いい感じのアフターストーリーですね。
なんかこの世界だと環太平洋文明圏と環大西洋文明圏の2極化が起こってそうですね。
ここに至るまでにきっと理想郷でねぼさんが書かれた日本の軌跡みたいな出来事とかがあったんでしょう。
いつか続編を書かれる事を待っております。
Commented by grass_noppara at 2009-08-12 20:43
不思議とこの作品は人気あるのがちょっと驚きです。
腕白関白がそれだけ人気あったって事なんでしょうね。
歴史的考察は正直苦手なので匂わすだけで結構スルーしてたりします。
まぁ、私にはこれが精一杯ってことですねw
Commented by コイピー at 2009-09-04 15:18 x
これ面白いな〜
三成は委員長タイプの子と見た。
Commented by コイピー at 2010-05-07 00:55 x
いまさらながら更新待ち
Commented by grass_noppara at 2010-05-07 20:40
>コイピーさん
うーむw
更新待ちですかそうですか・・・どうしたものか・・・
まずは何かSSでも書かないと色々ダメな気もするのですけど。
SS読みとゲームとかで時間がいっぱいいっぱいなんですよねぇ。
Commented by aoi at 2010-06-27 13:38 x
三成は秀次が衆道に興味がないことを知っているから秀次×三成本には激怒しそうだなぁ。
続きを待っています。 

政治家にかつぎあげられて転生者の取り巻きと共に現代の腐敗を切り捨てるとか。
Commented by grass_noppara at 2010-06-27 18:32
正直、歴史系の掛け算は理解したくないなぁw
特に好きな時代とか好きな人物とかだったら凄くやるせなくなるんですよねぇ。
政治家うんぬんは、まぁ、私の技量的にむりぽです。
歴史モノだって書ける気がしない訳ですがw
Commented by m/ at 2010-09-23 13:46 x
ほのぼの日常系ちょっと歴史二次創作の連載場所と聞いたので…… :)TLチラッ
Commented by NIS at 2010-09-28 00:15 x
面白かったです。
続編、てかできれば連載化希望。超希望。
これからもがんばってください。
Commented by grass_noppara at 2010-09-28 19:59
この作品ばかりは定期的にコメントが付くなぁw
流石腕白関白と言うべきでしょうか?
まぁ、一応、これで完結と言う事で、多分、秀次の中の人は結婚して幸せに暮らしましたでしょうかねw
Commented by N at 2011-05-09 12:07 x
最初は甲斐姫かと思ったけど、途中で三成ってのに気付いた。

でも、性別が変わったからといって流石に「ミッチー♪」とか呼んでる姿は思い浮かばないなぁ(苦笑
Commented by grass_noppara at 2011-05-09 20:59
なんと言うシンクロニシティw
丁度、久しぶりに腕白関白読み終わった所で久しぶりに感想付くとはw
三成TSは今思うとやりすぎたかなぁと思わなくもない。
結局彼女は秀次の助手をしながら結婚は一生しないんじゃないかと妄想中。
微妙に察してる稲姫と全く気付かない秀次で末まで家族ぐるみの付き合いをしてるんだよ多分w
傍から見ると三成の片思いで秀次モゲロなのがちょっと萌えるw
Commented by nis at 2012-10-29 22:21 x
のぼうの城も公開ですし、そろそろ甲斐姫編をお願いします・・・!
Commented by grass_noppara at 2012-10-30 18:38
のぼうは、最初何処の話か知らなかったんですよねぇ。
TVで特集見て、時代とか場所とか見てるうちに、あれ、これ忍城じゃねとw
甲斐姫居て、石田さんが難儀した事しか知らんレベルですけどね、そりゃ、城主とか居たはずだなぁ。
話戻して、流石に、蛇足はここまでですね。
書いた当初は実は年下の従兄弟に居たスポーツマン系甲斐姫とか、近所の小学生駒姫とか妄想はしてましたけどw
Commented by 流浪★七夜 at 2013-03-15 17:20 x
今更ですが、中毒性があるようで読みに来ました。
今更ついでに「その3」あればなぁ~
Commented by grass_noppara at 2013-03-15 20:45
腕白関白の人気に乗っかってる効果か、未だに感想付きますねw
残念ながら続きはありませんが、感想はありがとうございますw
Commented by ブロリー at 2013-09-22 21:28 x
今頃、腕白関白の二次があることに気が付きましたw
これはいい作品だ!書いてくれた事に感謝です!
Commented by grass_noppara at 2013-09-23 21:20
書籍化効果ですかね、未だにある程度人気あるんだから腕白関白の底力ってなかなかすごいもんですねw
勢いで書いた作品ですが気に入ってもらえれば幸いです、感想ありがとうございました。
Commented by グリッド at 2015-03-25 21:31 x
今更ながらに二次小説があることを発見、すばらしい作品をありがとうございます。
続編がないのが残念です。
Commented by grass_noppara at 2015-03-26 20:08
続編に関しては申し訳ないと言うしか。
今、リメイクもされてますし、私が書いた中では一番反響大きかったなぁとw
Commented by ワルター at 2015-05-28 13:44 x
なろう版完結したし、なろう版の現代転生二次も期待してますw
Commented by grass_noppara at 2015-05-28 22:27
そう言えば、完結してましたねぇ。
割と序盤は変化があまりなかったので後回しにしてましたがまた読んで来ようw
現代再転生は、流石に書かないかとw
Commented by コイピー at 2015-07-05 15:17 x
久しぶりに読みにきたらまだ感想がついてて凄いなこの作品!
by grass_noppara | 2008-12-19 19:10 | 駄文 | Comments(37)