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二次創作をメインにネット小説などを紹介するブログ


by grass_noppara
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金崎玄之丞の憂鬱2(ブリーチ・オリ主モノ)


卯月の上旬(晴れ)

死神になるための授業が真央霊術院で始まった。
ひとまずは基礎知識と言うことなのか座学中心の講義が多い。
何でも死神は斬魄刀という武器を持ちその武器を使って虚と戦ったり霊を成仏させたりするらしい。
そういえば死ぬ時にそんなことやってたのを見たなぁと思う。
化け物と戦うのは基本らしい、少し後悔。
喧嘩とかあんましたことないんだが、大丈夫だろうか?
やっぱ、あの剣に不思議パワーでもあって戦えるようになってるのかねぇ?
話を聞いてるとそれぞれ固有の特殊な能力があるんだと。
いい武器もらえると良いなぁ、エターナルフォースブリザード、食らうと死ぬみたいな?




卯月の上旬の弐(晴れ)

相変わらず座学。
どうやら支給される武器は能力を持たない浅打というものらしく特殊なのは自力で出せとか言われた。
自力で出せるんですかそうですか、不思議なことには大概なれたと思ったけど流石に体から剣が出せるとかないわぁ。
俺って過去でも死後でもなくてフィクションの世界にいるんじゃ無かろうか?
まぁ、考え過ぎか。
今日は鬼道のことを習った。
魔法ってあるんだね。
断然やる気が出てきました、魔法はロマン。




卯月の中旬(くもり)

変な奴に目を付けられた。
どこかの偉い貴族らしい。
死後の世界に貴族とか……
などと思う人もいるだろうけど、なんとこの死後の世界、子供が作れるらしい。
とことん何でもありだなぁ、不思議すぎる。
俺とか死んでから年とって無いんだが精神年齢で外見年齢でも決まるんだろうか?
その貴族だけど名前を朽木青春といい四大貴族の一員なんだとか。
家柄自慢とか権力闘争とかあるんだろうな、超関わりたくないです。
そんな事を思いながら過ごしてたんだが、あの日、目が合った瞬間跳び蹴り食らわされた。
青髪に小柄な体格の朽木青春さんですが体重の乗ったいい一撃です。
そして唐突に貧乳はステータスだ、希少価値だと涙目で説教されました。
貴様は泉こなたかと叫びたかったですが自重しました。
だって、泉こなたって誰だとか聞かれたら答えられません。
ちなみに朽木青春は小柄なお嬢さんです。
切れた理由は毎日俺が彼女を見るたびに胸とか見てため息付いたり鼻で笑ったりしてたからだとか。
夢の件とかあって反射的に貧乳とか見かけると巨乳を思い浮かべるようにしてたので顔に出てたみたいです、悪いことをしました。
正直に事情を話して謝罪したら蹴られました。
理不尽な。




卯月の中旬の弐(晴れ)

何故か朽木青春に気に入られました。
貴族と言うことで腫れ物にさわるような扱いばっかりだったらしく久し振りに家族以外からまともに扱われたと笑いながら言ってた。
なにこの生き物バカなの? 死ぬの?
いきなり蹴りかかってくるような貴族になんぞに関わりたくなかったのでそのままハッキリと言ったら、そこがいいとか言ってます。
オッケー分かった、ハイとイイエでハイ選ぶまで無限ループさせる気だなこの女。
俺の凡人レーダーがいっている、この女に関わるとなんかヤバいフラグが立つと。
玄之丞は逃げ出した、しかし回り込まれた、瞬間移動してやがる、ボスですねわかります。
なんか剣だしたハルバートに変わった、しかも雷が飛んできた。
お願いです、痺れて動けなくなった俺の上で白哉萌えとか平子×一護萌えとか攻めとか受けとか語らないでください。
誰だか知らないけど×で表されるのが不憫でしょうがないです。
仲良くするから勘弁してくれと謝ったら許してもらえました。
くそっ、幼女めとか思ってたら殴られた、どうも口に出してたらしい。
理不尽な。




卯月の中旬の参(くもりのち晴れ)

先日、青春の嬢ちゃんがやってた瞬間移動と武器変化はそれぞれ瞬歩と斬魄刀の始解と言うらしい。
死神の戦闘方法は斬拳走鬼の四種類あると言うことはすでに習った。
斬は斬魄刀の使い方、拳は斬魄刀なしでの格闘能力、走は身のこなし、鬼が鬼道すなわち魔法の上手さの事だ。
走だけ地味だよなみたいな話してたら瞬歩とか超重要だとか怒られた。
体育の時間に軽く素手の組み手やったら何度やっても瞬間移動で避けられて蹴られた。
ごめんなさい、もう地味とか言いません。
なんかコツとか教えてもらった、実は良い奴かもしれない。
いや、まて、雷喰らってぼこられたのを忘れるな、この女に気を許したらどんどん貧乏籤を引くと俺の中で何かが言っている。
そうそう、鬼道も使えるらしくコツとか教えてもらった。
手からビームでたよ、ビーム、鬼道すげー、魔法だ魔法。
ちょっとだけ、ちょっとだけだけど以前の仕打ちは忘れてやってもいいかもしれない。





卯月の下旬(くもりのち小雨)

今日から本格的な実習が始まる。
斬魄刀を使った戦闘訓練だ。
自分の刀を持ってる人間は自分のを出して素振りを始めている。
まだ持ってない人間用にと講師の死神が名無しの浅打の束を持ってきた。
斬魄刀は自分で出した分に限り名前を持っていてその名前を刀に教えてもらう事で特殊能力を使えるようになるそうな。
俺はまだ出せないので浅打を貰いに講師の所に行ったのだが、受け取った浅打を鞘から抜いた瞬間粉々に砕けた。
周囲の目が痛いです、何ゆえいきなり砕けるのでしょうか?
講師も首をかしげています、もう一本浅打を受け取り鞘から抜いてみますが再び粉々に砕けました。
呪われてるんでしょうか、なんかそこいらに幽霊でもいないか思わず探しましたが俺も死んでることを思い出して凹みました。
青春の嬢ちゃんとかメガ笑ってます、死ねばいいのに。
困り果てた俺を見かねたのか嬢ちゃんが寄ってきて、夢に見た奴を思い浮かべながら霊力を手に集中するように言ってきたのでその通りにやって見ました。
すると、時代劇でよく着物着たお嬢さんが敵討ちの時、敵に刺したりする短刀が出てきました。
霊力が強いとでっかい剣が出てくるという話を聞いた事があるんだが、これは要するにアレだろうか?
霊力が少なすぎて斬魄刀が小さいと言いたいと?
ちょっとは思ってたんだよね、俺TUEEEEって感じの未来もいいかなって。
この時俺は決意した、小市民で生きて行こうと。
青春の嬢ちゃんが何か言っていた気もするがどうでも良い事だと思うのでまぁ、ほんとどうでもいい。
鬱だ。




如月の下旬(晴れ)

色々あった気がするが無事、死神の基礎を学んで新人として護廷十三隊の配属される事が内定した。
相変わらず斬魄刀は使い辛いです、ていうか近接を斬魄刀でどうこうするのは諦めた。
幸い鬼道に適正があったのでそっちを磨きつつ、拳と走をサブに斬はサブのサブくらいの心持で鍛錬してます。
成績は鬼道が上の中位、拳と走はぎりぎり中の上、斬は意外だが上の下という事になった。
それは浅打を使う必要は無く自分の斬魄刀を出せたかららしい。
出せたら上は確定なんだとか、俺が思ってた以上に自分の斬魄刀持ってる奴は多くないみたいらしい。
講師の人にも努力すれば席官くらいにはなれるかもねと言われた。
まぁ、分相応って所だろうなぁ、席官狙えるだけでも驚きだよ俺。
青春の嬢ちゃんとはこのニ年近く、何だかんだ言いながらそれなりに仲良くしてた気がする。
これから護廷十三隊に配属されて、隊は離れるかもしれないがたまに出会った時位は、同級生として世間話のひとつでも出来る関係で居たいものだ。
こいつはきっと出世するだろうしなぁ、給料も良いだろうし、今度美味いもんでも奢って欲しい。
まぁ、何はともあれ死神としての第一歩を踏み出した俺の栄光の日々はこれから始まる……みたいな。
隊の人は良い人多いといいなぁ。




 金崎玄之丞 真央霊術院の日々の日記より一部抜粋









【朽木青春の憂鬱】


 私がそいつと出会ったのは真央霊術院に通うようになったことが切欠だった。
 朽木家の長女として生まれ、既に充分な死神としての技能を得ていた私は一応の決まりという事で院に通う事になっていた。
 正直、この体のスペックは特上だし、貴族だからといって敬遠されるのは判り切っていたので憂鬱だった。

 その男を最初に見たときも原作の主要キャラと比べて普通過ぎるくらい普通だったので気にも留めていなかった。
 髪の色も黒だし、目の色も別にオッドアイとかじゃないし、背は平均よりは高いけどモデル体型なんて事も無い。
 顔も悪くは無いけど良くも無い、本当に特徴の無い男だった。
 他のやつと同じように私から距離を取っていたし、私を見ての反応も溜息を付いたり鼻で笑ったりと、どうせ貴族の嬢ちゃんが見たいな視線だった。

 しかし、良く見てみると、他の人間とは微妙に着眼点が違う気がする。
 私が天啓を得たのはそんな日々がしばらく続いた後だった。

 なんともなしにこちらを見てるそいつを横目で見ていたんだが。
 そしたらそいつは私の全身を上下に見た後、某部位で視線を止めた後、何時もの様に鼻で笑ったのだ。
 私は切れた、大いにキレタ。
 貴族の作法とか、威厳とか、矜持とか全部飛んだ。
 むしろここで切れなかったら女としてのプライドが終わる、どうしようもなく。

 とりあえず蹴りかまして説教した後、弁解させてみた。

「いや、夢で胸の寂しいお嬢ちゃんを毎晩見るから自分の性癖に自信が無くなってな。
 胸の寂しい女性を見るとつい巨乳を思い浮かべるようになってしまったんだ。
 態度に出てたようで本当にすまん、悪気は無かった、今は反省している」

 真顔でそんな事を言うこの男、絶対反省してない。
 むかついたのでとりあえずもう一回蹴っておいた。
 誰も私を攻められないと思う、絶対。



 しかしまぁ、失礼な奴ではあるけど他の腫れ物を触るようにしか接してこない有象無象よりは全然マシだ。
 退屈だと思っていた院での生活はこの男で遊ぶ事で解消しようと思う。
 そしてもうひとつ、多分、あの男が見ている夢は斬魄刀の呼び声だと思う。
 原作では日番谷冬獅郎がそんな夢を見ていたとか言っていた。
 斬魄刀を呼び出す前からそういう夢を見ていたと言う事はかなり強い霊力を持ってるはず。
 案外、便利な奴かもしれない、とりあえず仲良くしてやる事にする。

「だが断る! 貴族とか権威とか権力闘争とか面倒なんでパス、仲良くしないで下さい」

 真顔でそんなこと言う男は殺して良いと思うんだ、この時私は青筋浮かべてたと思う。
 それでも笑顔でそういう歯に衣着せない人間は貴重よねぇと言ったら滅茶苦茶嫌そうな顔して逃げた。
 むかついたので瞬歩で回りこんで斬魄刀を始解して電撃を撃った。
 やりすぎたかもしれない、でも後悔はしていない。
 背中に乗ってブリーチのカップリング談義をしたら涙目で謝ってきたので寛大な私は許してやる事にする。

「何処の誰かは知らないけど、×でくっつけられるとは不憫な……おのれ、幼女め」

 とりあえず殴った、反省はしていない、してやるもんか。





 しかし、この男、妙に言動が今の時代にそぐわない。
 でも、ブリーチの事とか知らないみたいだし(カップリング談義の時に確認した)気にしすぎかも?
 まぁ、仮面の人等みたいに時代考証無視してる人とか多いし気にするだけ損かな?
 昨日は苛め過ぎて悪いと思ったので少しだけ瞬歩とか鬼道とかの勉強を見てやることにする。
 教えてみたら、わりと中の上くらいの才能はありそう。
 特に鬼道は相性が良いかもしれない、初日で破道の四とか威力は兎も角使えるようになるとはね、良い買い物だったかも。

 この男を見極める機会は割りと速くやってきた。
 斬魄刀を使った実習で手に取った浅打が粉々に砕けるという意味不明な現象が起こったのだ。
 全く、本当に退屈させない男だとつくづく思う。
 浅打が使えないなら自分のを使うしかない。
 私の勘が確かなら、こいつは自分の斬魄刀を持ってるはずだ。

 案の定、少しのアドバイスで自分の斬魄刀を抜く事が出来た。
 しかし私に、その斬魄刀が現れた瞬間、背筋に氷柱を入れられたような寒気が走った。
 咄嗟に頭に浮かんだのは嫉妬という言葉だった、もしかしてこれは嫉妬の視線じゃないだろうか?

「そうか……全く、嫉妬深い斬魄刀ね」

 これは女の勘って奴だけど、浅打が砕けたのは自分以外の刀を主に使わせたくないせいかな?
 斬魄刀の抜刀前から声を聞いていたわりに刀が小さいのは隊長格が斬魄刀のサイズを調節できるのと同じ要因なのかもしれない。
 無意識に霊力を抑えてるとしたらホントにいい買い物だ。
 見極める時間はあと一年以上あるし、使えるようなら使ってあげるのが粋ってもんでしょう。
 私は今の時点でお爺様の六番隊に入るのが内定してる。
 金崎玄之丞、この男も六番隊に推薦してみようかしらね、面白くなってきたわ。







 了
by grass_noppara | 2009-02-11 00:10 | 駄文